こんにちは。ケイ (@kei_nomad) です。
一時期、老後資金としては2000万円の貯金がいると話題になりましたね。
しかし、これはいわゆる厚生年金のあるサラリーマンの話なので、保障の少ないフリーランス・個人事業主・自営業は実際どのくらい必要なのか計算してみました。
この記事では、必要だと思われる貯金額と、今からできる対策について書いていきたいと思います。
結論から言うと、フリーランス・自営業には3500万円程度の貯金が必要
はい。もうとんでもない金額ですね……サラリーマンの1.5倍です。
そして、これは決して突飛な額ではなく、かなり現実的な数字となっています。
しかしながら、色んな仮定のもとでこの数字は出しています。
計算根拠と前提は以下の通りです。
ただし、後述するようにちょっと考えたらこの額は結構減りますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
老後に必要となる貯金額の計算内訳
前提
- 老後一人暮らし(こうなるとちょっと寂しい感じもしますが、結婚率の低下を考えると十分にあり得る話ですので)
- 健康面で少し不安が出てきているところ
- 仕事は60歳で退職
- 80歳で死ぬ予定(日本人男性の平均は81歳ですが、ここは切りの良い80歳で)
老後にかかるお金の内訳
まず、老後にはどんなことにお金をかかるのか見ていきましょう。
これは大きく分けると次の2つです。
生活資金
当然ですね。で、計算では、月16万と考えています。
この根拠ですが、こちらの記事を参考にしました。
なので、月16万円 x 12 で192万円、192万円 x 20年 = 3840万円となります。
生活費だけで4000万近くもかかるわけです。
医療費
60歳以降に大体1600万円かかり、このうちの3割負担として480万円必要とします。
3割負担が2割だったり1割だったりすることはありますが、国の財政事業を見ると、私たちが老人になったときは現役世代と同じだけ負担させられる可能性は低くありません。
というか、個人的にはほぼ間違いないと考えています(それどころか、4割負担とかもありえますが、全く予想がつかないので、とりあえず3割としておきます)。
葬式費用
現在、平均としては195万みたいです。ただ、これはやり方で結構変わるみたいです。
出費まとめ
というわけで、上記3つを足すと以下のようになります。
3840万円 + 480万円 + 195万円 = 4515万円
老後で考えられる収入源
これらに対して、老後で考えられる収入源は、何もしていなければおそらく年金のみでしょう。
国民年金の現在の支給月額平均55,000円で、支給開始は65歳からです。
なので、
55,000円 x 12 = 660,000円
66万円 x 15年 = 990万円
つまり、おおよそ1000万円程度が収入として考えられます。
計算まとめ
4515万円 - 990万円 = 3525万円
となり、おおよそ3500万円が必要となります(ただし、これは死ぬときに無一文で使い切る設定ですし、実際には緊急用のお金も必要となるでしょう。で、その金額を約300万と仮に設定したなら、 3800万円程度は必要となります)。
老後の蓄え以外にかかってくるお金
これはむしろ現役時の話になりますが、もし子供がいれば、上記の貯金以外で教育費や養育費等も必要になってきます。
ざっくりと、子供一人に対して年100万ぐらいかかります。本当にざっくりとした金額だし、大学行くかどうか、どんな大学に行くかによって変わってきますが。
いやー、世の中のパパママが「金がねえ」って言うのわかりますよ……。
今からできる対策
貯金
まずは貯金ですよね。
上の前提に立ち、もしあなたが今30歳だとすると、年間126万貯金する必要があります。ひええ。
危機感持ちましょう……。
もっと稼ぐ
フリーランスなら、これも貯金と同じぐらい考えるべきことですよね。
お仕事頑張れば頑張るほど、当然貯金も資産運用もしやすくなります(白目)
フリーランス・個人事業主が利用できる社会保障制度を利用する
国民年金
とりあえず加入が義務づけられている国民年金ですが、未納の人も多いです。
が!!!絶対払っておきましょう。むしろ払わないと損するのはあなたです。
詳しくは国民年金について書いた記事を読んでもらうとして、ここでは軽く理由を3つ説明します。
- 国民年金の資金源の半分は税金
これがどういうことを意味するかというと、国民年金は未納にできる一方で、税金は何があろうが絶対に払うことになります。そして、国民年金が未納の場合、(当然ですが)受給資格はありません。
となると、半分は税金で支払っているのに年金は受け取れないという摩訶不思議な状態が発生します。払っているのに受け取れないなんて嫌ですよね??
(仕組み自体これどうなの、と思いますが) - 障害年金を受け取るには国民年金を支払っている必要がある
障害年金の利点は、自分が何か事故か病気で働けなくなり、障害認定を受けたら国からお金が支給されることです。
障害を負って仕事がなくなった時点で金銭面ではかなりの負担が出ることが予想されますが、この時に「未納してたから障害年金が降りない……」となると踏んだり蹴ったりです。
で、誰も自分が障害を負ったりすることなんて想像出来ません。
人生には本当にどうしようもないこともあります。
そういったリスクを国民年金を支払って低くできると思えば、それだけでもペイできると思いませんか? - 元が取れる人の方が多い
国民年金の損益分岐点は75歳です。とはいうものの、受給年齢とか受給額とか変わってきているので一概には言えませんが、平均寿命が男性で81歳と考えると、悪くありません。
また、国民年金自体が崩壊するのでは、という意見もありますが、たぶんないです。
国の根幹にかかわる社会保障であること、金額がでかすぎること、そして、受給年齢とか色々ずらせられる(嫌ですけどね!)ことを考えると、たぶん崩壊自体はないと思われます。
ずらしまくって金額も減らしまくった状態を「崩壊していない」といえるのかという問題もありますが……。
また、払ったら税金が控除されるので、節税効果もあります。
確定拠出年金(iDeco)
最大額は決まっているものの、かけた分は全部税金が控除されるという代物。
預けたらそれを自分で資産運用する感じですが、問題は60歳までお金を下ろすことはできません。
これは良くもあり悪くもあります。
- 良い点
株式投資の場合、基本的に10年や20年の長期で考えるとまず損しないです。
短期的に不景気になって資産価値が目減りすることもありますが、長期スパンなら大体戻ります。
また、安くなって「狼藉売り」という現象が原理上無理です。
心理的にもやりやすくなっていますね。 - 悪い点
60歳までお金を下ろせないので、資金の流動性がほぼありません。
これが何の問題になるかというと、フリーランスとか自営業だと、急にお金が必要だったり、生活が不安定だから切り崩したくなるときがサラリーマンより多くなります。
となると、一度預けたら下ろせないというのはそこそこリスクになってしまいます。
国民年金基金
掛け金2万からで、国民年金にプラスオンできます。
これも所得控除の対象です。
イデコと似た部分としては、これもお金を下ろすことはできません。
ただ、違うのは、これは自分で運用する必要はありません。
また、かけた時点で受給額が決定される仕組みなので、インフレ時は実際に受け取れる額が物価に対して目減りする可能性があります。
資産運用をする
上記の年金関係の制度以外にもNISAとかつみたてNISAもあります。
で、個人投資家の年間平均利回りは5-9%であること、長期運用を前提に複利で増やすことを考えると、余剰資金を投資に回すのも悪くありません。
ちなみに、年5%増えると仮定して20年を複利で回すと、おおよそ65%増えます。
イデコや国民年金基金と比べると、お金が急に必要になったときも比較的すぐに下ろせるのも良い点です。
ほったらかしを前提として、余剰資金をこちらにまわしておくのも決して悪くないアイデアだと思います。
あと、何気に色々勉強になって楽しいですよ。
とはいうものの、仮に100万あって5%増えたとしてもたった5万なので、これだけで生活するのは正直きついです。
2000万とか3000万あればそれも考えられますが、でも、仮に30歳ぐらいでそのぐらいあったらもうこんなこと考えなくて良くなってきますからね……。
とりあえず、資産運用額は増えれば増えるほど有利になっていくので、若い頃からコツコツ継続しましょう……。
※個人事業主向けの投資方法の記事も書いています。
必要な貯金額を減らすには?
じゃあ、そもそも必要な額を減らすにはどうしたら良いんだろう、というのも当然考えますよね。
以下では、その案について見ていきます。
60歳以降も働く
一番のおすすめはこれですね。
そもそも、国民年金の受給が65歳からだし、もし体が元気なら、そのうちは働くのが良いと思います。
現役時のようにバリバリ何十万も稼ぐ必要はありません。
仮に月5万を70歳まで稼ぐだけで、5万 x 12ヶ月 x 10年 = 600万円です。
これだけで、必要な貯金額は3200万になりますね。
この場合、現役時は年106万円の貯金で済みます。
月10万だとしたら、1200万稼げる計算になるので、2600万円程度になります。
なので、現役時は年86万円の貯金でOKです。
老後の生活資金を減らす
上は1人暮らしとして月16万計算ですが、夫婦で二人なら約24万です。
一人あたり12万ですね。
となると、12万 x 12ヶ月 x 20年 = 2880万円となります。
一人の時が3525万円かかる計算なので、3525万円 - 2880万円 = 645万円も差額があります。
結婚するかどうかはともかく、誰かと一緒に暮らしていた方が圧倒的に有利ですね!
健康な状態を出来るだけ維持する
医療費の支払いは高額療養費という制度があり(リンク先は協会けんぽですが、大抵どの健康組合に付いています)、支払った額の一定額以上は還付されることから天井は知れています。
しかしながら、一時的にめちゃくちゃ金を支払う必要があること、天井があるとはいえかなりの額を支払わないといけないので、金が文字通り吹っ飛んでいきます。
歳を取れば健康上の問題が色々出てくるのは仕方ありませんが、普段の心がけで多少はマシにはなるし、その方がQOLもきっと良いでしょう。
というわけで、今から健康に気を遣っときましょう。
それによって将来の自分を健康面だけじゃなくて金銭面でもサポートできます。
二人暮らしで70歳まで月5万稼ぐとするとかなり楽になる
計算すると、2880万円 - 600万円 = 2280万円で、2280万円 / 30年 = 76万円となり、1年間で76万の貯金で済むようになります。
ここまで来れば、かなり現実的な数字となってきますね。
だけど、最悪貯金無くてもなんとかなる
と、長々と色々書いてきましたが、「どうしようもなんねえ」って時が訪れるかもしれません。
本当に人生はどれだけ対策してても、どうしようもならないこともあります。
知っていることは防げる可能性もありますが、知らないことでどうにかなってしまうこともあります。
で、非常につまらないことで、皆が「これ知ってて当然やん?」ってことでも抜ける事って案外あるんですよ。
なんで、とにかく不測の事態を避けるようにしたいのですが、どうしようもならないときでも安心してください。
伝家の宝刀、生活保護があります。
生活保護は、国民の権利です。どれだけ他人からめったクソに叩かれようが、あなたがどれだけ自堕落な生活をしてようが、あなたには受け取る権利があります。
他の人に奪われるものではありません。
どうしようもないときこそ、生きるために使う権利です。積極的に利用しましょう。
間違っても、「俺は生活保護なんてもんには頼らねえ!」なんて言わないでください。
世間の目は冷たいですが、彼らは責任も取ってくれないし、助けてくれません。
繰り返しますが、生活保護はあなたの権利です。
制度自体は色々よく出来ているし、ここまで頑張ってどうしようもなくなったあなたには、当然受け取っていいはずです。
ただ、生活保護の認定は結構面倒くさいとか、貯金があると受け取れないとか、色々制限はあるので、調べておきましょう。
繰り返したいのは、金銭的な面で人生に行き詰まっても、大抵は本当になんとかなるのです。面子さえ気にしなければ。
そして、その面子はあなたの命を失うほどの価値があるのか、よく考えましょう。
まとめ
最後にすごく余談的なことをアツく語ってしまいましたが、マジで面子で死ぬ人いるんですよ。
そういうので死ぬと、私は何かすごい悲しくなるので……。
というわけで、フリーランスの生活設計的な話について語りました。
色んなライフステージもあるわけで、上記で書いたような単純な話で済む人は殆どいないため、自分用に色々アレンジしたり前提やプロセス、やり方を変える必要があります。
ですが、大筋としては上記のことは多くの人に当てはまるのではないかと思います。
参考になれば。